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経営改善計画(実抜計画)作成の際の7つの指標

経営改善計画(実抜計画)作成の際の7つの指標

金融円滑化法を利用して、返済猶予を金融機関にお願いしている会社は1年以内に経営改善計画を作成する必要があります。その際、いきなり経営改善計画を作成するのは無理があるので、まずは企業の実態調査から入ることになります。
この実態調査、大きく財務面の調査と事業面の調査がありますが、本日は財務面の調査でポイントとなる7つの指標について解説したいと思います。

①正常収益力
 5期間程度の経常利益を分析します。売上の架空計上、在庫の過大計上、減価償却費の計上不足額、その他突発的な支出や収入があればそれらを考慮して、企業の実態としての収益力を分析します。

②フリーキャッシュフロー(以下、FCF)
 ①で求めた収益力から以下の項目を加減算してFCFを求めます。

    正常収益力(経常利益)
 ‐   法人税及び住民税額
 +  減価償却費
-----------------------
小計 借入金返済原資
 ‐   設備投資見込額
 +  支払利息
 ±  運転資本の増減
 -----------------------
     FCF
 
 金融機関はこのFCFを独自に算出して、現在の会社の借入金がその会社にとって適切な金額なのかを定期的に把握しています。

③実質債務超過額
 在庫、不動産、営業債権、その他の資産を時価または回収可能額で評価した金額から営業債務、借入金を差し引いた金額。
 帳簿上資産超過であっても、バブルの頃に不動産を購入していたり、稼働していない設備を多く保有していたりすると、実質債務超過となることがあります。
 実質債務超過であっても、金融機関にもよりますが、5年~10年程度で解消する見込みであればそれほど大きな問題にはならないと考えられます。

④過剰債務
 借入金の総額がFCFの概ね10倍を超えるとその超えた部分は一般的に過剰債務と考えられます。

⑤債務償還年数
 借入金の総額を借入金返済原資(上記②の小計参照)で割った値です。借入金返済原資をすべて返済に充てた場合、あと何年で今の借入金が完済されるかという指標です。 10年以内であれば問題ないと考えられます。

⑥非保全額
 金融機関は貸付金を保全部分と非保全部分に分類しますが、保全されているかどうかでは不良債権の分類で異なります。
 会社が返済猶予を申し出た場合、金融機関にとってその貸付金がすべてが不良債権になるわけではありません。
 不動産を抵当として差し入れている場合や保証協会を利用している場合は、不動産の時価相当額や保証協会の保証部分は正常債権または回収に注意を要する債権として分類されます。
 借入金の内訳を保全、非保全額に分類することによって金融機関がどのように評価しているか把握します。

⑦税務上の繰越欠損金
 日本における法人税の実行税率は約40%です。繰越欠損金があればその分、法人税を納付する義務がなくなるため、FCFが増えます。
 5か年の経営改善計画を作成する際には、繰越欠損金の金額によって将来の数値計画が変わってきます。


上記の調査で会社の実態の把握が出来たら改善計画の作成となります。
アクションプランで記載されたコスト削減策や新たな収益の柱の開拓などによって、今後5年間の①正常収益力と⑦税務上の繰越欠損金から5か年の損益計算書を作成します。
次にこの損益計算書から5か年の貸借対象を作成して、②FCF、③実質債務超過額、④過剰債務、⑤債務償還年数の毎年の推移を計算します。
たとえ今現在、FCFが少なく、また、実質債務超過額が大きくても5年後にこれらの数値が改善される見込みがあれば良いわけです。
もちろん、計画は単なる絵に描いた餅にではいけませんので、数字は悲観的に、固めに見積り、計画作成後はPDCAサイクルを確実に実行し、定期的に金融機関と情報交換する必要があります。

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